視覚障害者にもわかりやすい痔の手術体験談

数年の間、痔に悩まされていました。
最初は外の痔だったのですが、それが落ち着いたと思ったら中の痔で不快でした。

肛門科で診察を受け、最初の2週間はボラザG座剤の服用で様子を見ましたが、痔が小さくなったり消えたりはしませんでした。
そのため手術を受けることにしました。

手術の体験談を視覚障害者にもわかりやすいように言葉で説明します。
なお本記事は筆者の手術について後日記載のメモ書き程度の内容です。

今回受けた手術

今回受けた手術は、ジオン注射(ALTA療法)による内痔核(中のイボ痔に適用)の日帰り手術です。

痔にはいくつか種類があります。痔によって手術方法が変わり、私のような内痔核にもいくつか手術方法があります。
主治医の先生と相談して選択されるとよいと思います。

痔の説明

  • 痔核(じかく=いぼ痔): いぼ状のはれができる
  • 裂肛(れっこう=切れ痔): 肛門の皮膚が切れる
  • 痔瘻(じろう=あな痔): 肛門に膿のトンネルができる

痔核はさらに、肛門の内側の粘膜部分にできたものを「内痔核」、肛門の外側の皮膚部分にできたものを「外痔核」と呼びます。粘膜と皮膚の境目は「歯状線」といい、歯状線のどちら側にあるかで名称が変わります。
実は歯状線がどこなのか、どこまでが粘膜で、どこからが皮膚なのか正直よくわかっていません。

自分が内痔核だったのは診察してもらいわかりました。自分では外痔核だと思っていました。

ジオン注射(ALTA療法)

ジオン注射は、内痔核をメスやはさみで切らずに治す治療です。
ジオンというお薬を内痔核に注射することで、いぼへと流れる血流の量を減らし、硬化・縮小、さらには粘膜へと癒着・固定させる治療法です。

事前にいろいろ調べて通院しました。メリット、デメリットがあり、患部の状態によっては他の術法がよい場合もあるため、主治医の先生とよく相談して決めました。

主なメリット

  • 切らずに注射だけで終わり、体への負担が少ない。
  • 手術後の出血や痛みがない。
  • 日帰りで受けられ、入院が不要。仕事を休む必要がない。
  • 健康保険の対象。

主なデメリット

  • 肛門が痛い、排便がしづらいという一時的な副作用が出る場合がある。
  • 約10%で再発。

手術前検査

手術の1週間前に手術前検査を受けます。

検査内容は、血液検査、尿検査、心電図測定、血圧測定です。

検査終了後、手術の説明を受け、説明書、手術承諾書、レシカルボン坐剤、手術後の食事セットを受け取り帰宅です。

レシカルボン坐剤は便秘に用いる坐薬で、直腸の粘膜を直接刺激し、腸の運動を活発にして排便をうながします。
手術当日の朝に使います。常温だと溶けてしまうので、冷蔵庫で保管します。

手術当日

事前にもらったレシカルボン坐剤2つを肛門に入れ、15分から20分我慢して排便します。
手術に影響がないよう、肛門周囲の便を出すためです。

20分ぐらい我慢できると思っていましたが、15分が限界でトイレに行きました。

病院までは電車とタクシーで移動です。

受付、手術前準備

病院到着後、受付で同意書を提出します。

手術後に待機するリカバリールームに入ります。

着替えの説明を受け、受け取った手術着に着替えます。
手術着は、宿泊施設の浴衣のようなもので裾はふくらはぎぐらい、長袖です。以前に大腸の検査を受けた時の検査着と同じタイプになります。

パンツ(下着)と靴下以外は脱ぎます。上半身の肌着も脱いで着替えます。

着替えが終わると、看護師さんが入ってきて点滴の開始になります。
この点滴が何だったのかはよくわかりません。

手術

リカバリールームから手術室へ歩いて入ります。

手術着を脱ぎ、手術台の上に仰向けで寝ます。パンツと靴下は着たままです。
パルスオキシメーター、心電図、血圧計を付けてもらいます。

肛門の検査の時のような横向きになります。
パンツはお尻が出る程度に下げます。
医師が麻酔前の消毒をします。
今回の麻酔は脊椎麻酔(腰椎麻酔)です。麻酔に思ったより時間がかかった気がしました。
麻酔注射自体が痛いのですが、徐々に効果が出てくるので痛さを感じなくなってきます。

麻酔終了後、うつ伏せになります。
パンツをひざより少し上ぐらいまで下ろしてもらいます。
足を開き、お尻の肉を開いた状態でテープで固定されます。医師、看護師が肛門にアクセスしやすい姿勢と状態になります。

ジオン注射の開始になります。
この時は、すでに麻酔でお尻に感覚がないので、痛いとかそういう感覚は全くありませんでした。
ジオン注射専用の肛門鏡を使うそうです。

注射が1回終わるごとに、先生がマッサージをして薬剤の効き目を高めます。注射~マッサージを4回繰り返します。

先生の手術終了の合図で終わりになります。

患部にガーゼを当ててテープで固定してもらいます。
パンツをはかせてもらいます。
後で気がついたのですが、うつ伏せのままはかせてもらったせいか、チンポジがおかしくて横向き←になっていました。なので自分で↓に直しました。

うつ伏せのまま手術着を着せてもらいます。
手術台の隣のベッドにそのまま転がって移動します。

手術後

リカバリールームでの休憩

手術室からベッドのままリカバリールームへ移動します。
麻酔が切れるまで休みます。立ち上がって歩けるまで休むのですが、1時間半かかりました。

最初の30分は寝たまま、その後、15分おきぐらいに歩けるかの確認をします。

すぐに立ち上がって歩けると思っていたのですが、麻酔の力というのはすごくて、立ち上がっても酔っ払いのようにへろへろしてしまい、歩きたくてもふくらはぎに力がはいらず、ベッドに座ってまた寝るというのを繰り返しました。

寝ている間はすることがなかったので、自分の体をつねったり触ったりして、どこに麻酔が効いているか確かめていました。
体の表は恥骨から下、裏はお尻の上の割れ目の始まるところから下が麻酔が効いていました。
事故で半身不随になるとこういう感じなのかな、トイレしたくなったら漏らしてしまうのかな、上半身に麻酔がかからなくてすごいなとか、いろいろ考えて気を紛らわしていました。

足の付け根の上、股のところに何か乗っている、手術の時の器具とか?と思って手を伸ばしたのですが、生八つ橋みたいな何だろうと思ったら、それは自分のおちんちんでした。
手は麻酔がかかっていないけど、下半身は感覚がないので、触られてもわからない、力が入らないからふにゃっとなっている、そして冷たくなっているので、自分の体ではない感じで、二度と味わえない感覚だなと思いました。

手術結果報告書

麻酔が切れるまで休憩している間、先生から手術結果の説明を聞き、手術結果報告書を受け取ります。
また、手術後の生活で注意すること、通院がしばらく必要なことが説明されます。

帰宅

会計、次回の通院の予約をして帰宅します。
私はタクシー、電車、徒歩で帰宅しましたが、麻酔が完全に切れるまで心配という人は、家族などに迎えに来てもらうのがよいなと思いました。

手術後の経過

当日と翌日は安静にしていました。
肛門に鈍い痛みがあったのでベッドでごろごろして過ごしました。

入浴やシャワーは当日からOKでした。先生によってはシャワーのみと指示される場合があるかもしれません。
私は当日の夜にシャワーを浴びました。

翌々日以降も肛門に鈍い痛みはありますが、生活に支障があるレベルではなかったです。普段通りに生活できました。
ただ、ずーっと座っているとそれなりに痛いので、時々立つ、歩くことをおすすめします。

排便は翌日からでしたが、正直最初は怖かったです。
注射したところに影響はないか、痛くはないか気になりましたが、便を軟らかくする薬が出ていたため大丈夫でした。

食事はいつも通りで大丈夫です。
大腸検査の時の検査食のようなものを3食分もらってあったのですが、こちらは後日食べることにし、いつも通りの食事でした。

飲み物もいつも通りでよいのですが、アルコールは手術1週間前からしばらく避けてくださいとのことです。
私は飲酒しないのでこの点はよいのですが、お酒が好きな人は手術前後の2週間ぐらいは禁酒が必要になります。

これは書くか迷ったのですが、翌日に自慰、その2日後に性行為をしたのですが、その時に肛門から痔核が飛び出す感じがし心配でしたが大丈夫でした。

処方されている薬

処方された薬です。

薬の名前 役割 備考
セフカペンピボキシル塩酸塩錠 抗生物質、術後の感染症予防 朝昼夕、術後2日分
マグミット錠 便を柔らかくする薬 朝夕
ツムラ補中益気湯エキス顆粒 病気後の衰弱を改善する漢方 朝夕食前
ツムラ乙字湯エキス顆粒 キレ痔、イボ痔の治療に用いる漢方 朝夕食前
ヘモナーゼ配合錠 痔による出血や患部の腫れをやわらげる飲み薬 朝夕食前
ロキソプロフェン錠 痛みをやわらげ、炎症を抑えるお薬 頓服、最初の1回のみ処方
レバミピド錠 胃の粘膜を修復する薬 ロキソプロフェン錠服用時、最初の1回のみ処方
ヘモレックス軟膏 座剤、肛門部の出血・はれ・痛み・かゆみなどの症状をやわらげる薬 朝夕

準備しておいた物

生理用ナプキン

痔の手術後といえばナプキンというぐらい必要だと思っていたため準備しました。

しかし、必要性をそれほど感じなかったというのが本音です。
理由は下記の2つになります。

  • 手術後はお尻から粘液や血液が漏れるわけでもなく、よって下着は汚れない。
  • 手術前の説明で必要な物として言われなかった。

1つだけ必要だと感じた時があります。
処方されたヘモレックス軟膏を注入した後、おならをした際に、注入した液が出てきてしまい下着に付いてしまった時です。
これも毎回というわけではなく、運が悪いときはそうなる程度のことだったので、お尻にトイレットペーパーをはさんでおくぐらいでもよいかもしれません。

今回の術式の場合は、私の場合はナプキンは必要なかったというのが答えになります。

準備しておかなかった物

円座クッション

円座クッション(ドーナツクッション)を買っておこうか迷いましたが、いろいろ調べた結果、購入しませんでした。
手術後の現在も購入しなくてよかった、必要ではなかったと感じています。

購入しなかった理由は下記になります。

  • 座り方で肛門への刺激、圧迫が解消できる
  • 痔が治癒した後は不要になる。
  • 座って仕事するので、自宅にも会社にもないとクッションに期待する効果が得られない、コスト面で二つは高い。
  • 自宅の椅子はオカムラのシルフィーで座り心地はよい、なのでクッション不要。
  • 専門医も特に推奨しているわけではない。
  • 手術前の説明で必要な物として言われなかった。

座った際のお尻の痛さは、痔の状態で人それぞれだと思います。もし購入をしようと思っている場合、薄いクッションは避けてください。薄い物は座った際に押しつぶされるため肛門が下に着いてしまい、クッションをしていないのと同じ状態になってしまいます。それでは本末転倒です。
体に合ったサイズで厚みのあるクッションを選んでください。

最後に

痔は病院で診察を受けてください。
自己判断はせず、医師に触診、肛門鏡、肛門の締め付けを測定する器具で測定してもらえば安心です。
一番怖いのは、痔ではなく他の病気だった場合ではないでしょうか。

市販薬もありますが、漫然と市販薬を使い続けることはおすすめしません。

最後に先生、看護師さんありがとうございました。